相 棒


わかってるさ…。
それがあいつなんだってことくらい…。
イヤってほど付き合ってきたんだ。
だから、わかってる…。

人を勝手に引っぱり回したかと思えば、いきなり音信不通になって、さんざん焦らして…。
挙げ句、さっさと一人でケリをつける。

わかってるって、そういうやつさ。
今までだって、何度も…。

死ぬほど心配したって?
俺の方がどうかしてたんだ。
連絡くらいよこせと噛みついた俺の方が…。

だから、わかってるって…。
photo by ジグさん




−−怒ったのか?

 今、一番聞きたくない声を背後に聞いて、大下は小さくため息をついた。

−−別に…。
−−電話、話し中だったんだ。

 洒落にもならない言い訳に、大下は天を仰ぐ。
 鷹山は、変わらない。
 どう言ったところで、どうあがいたところで、変わりはしないのだ。

−−勇次?
−−いいんじゃない? どうせ変わりっこねぇもんな、お前は…。

 見切りをつけるように振り返ると、大下は鷹山にはちらりとも目をやらず、車に向かって歩き出した。

−−勇次ィ。

 長く伸ばした声が誘うように大下を呼ぶ。
 キーに手をやりながら顔を上げると、含み笑いの鷹山。
 こういうときは、気をつけた方がいい。
 また性懲りもなく、課長の…。

−−変わったんだぜ、これでも…。

 予想とは違う言葉に、ん?となる。
 鷹山の視線が珍しく明後日の方を向いた。

−−言い訳なんて、なっさけねぇこと、考えちまうんだからな、…お前には。



 鷹山は、ときに不意打ちを食らわす。
 それを毎回まともに食らってしまう大下は、…ったく、バカだよなぁと自分を笑う。
 だが、大下は知らない。
 鷹山にとっては、大下の存在そのものが「不意打ち」なのだということを…。

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