「タカ、女?」
「女?」
「女」
「女か?」
「女、な?」
「女、ね」
「よしっ、決まりっ!」
「男」
「あ?」
「悪い?」
「いや、…悪いってことは…」
「…ないよな、男。ん?」
「いや、悪くない、悪くないよぉ、タカは男、ね。男…」
「で、勇次は、女、と」
「いや、俺も…」
「…も?」
「どっちかって言うと、男がいいなぁって…」
「賭けになんねぇだろ? 勇次くんは、女」
「いや、だから…」
「どっちだって同じだろ?」
「だだだったら、俺が男だっていいじゃんか」
「…ったく、めんどくせぇ野郎だな。じゃ、勇次が男、これで決まり、な」 ⇒ ⇒
ニンマリ笑った大下勇次に、運の回ってきた試しはないわけで…。
「なになになに〜? 何やってんの?」
ドアベルもけたたましく飛び込んできたのは、言わずと知れた…。
「薫〜?」
「女、ね?」
「薫は例外だろ?」
「失礼なヤツだな。あれでも一応…」
「一応な〜に?」
「あは、いや、薫は、かわいいかわいい女の子だなぁって」(ハモって(^^;ゞ)
「いやん、アリガト♪ ここは薫ちゃんのオ・ゴ・リ…」
「わぉ!」
「…なワケないでしょ。どうせ、次に入ってくるのが男か女かってしょうもない賭けしてたんじゃないの? どっちが奢るとか、さ」
「…だったら、入ってくるなよ」
「だってタカさんにエスコートされたんだもん」
「あ?」
「薫、よけいなことを…」
「タカ〜? きったねぇな、お前…」
「何言ってんのよ。先に透くん呼び出したの、大下さんでしょ? ナカさんにまでお金貸してって泣きついてたわよ」
「あのバカ…」
「勇次ぃ〜」
「あは…」
「賭けにしようって言ったの、お前だよな?」
「なななんだよ。同じ穴のムジナじゃねぇか」
「OK。同じ穴、ね。じゃ、賭けは成立だな」
「あ…」
「ママ!」
「ちょい、待ち…。そりゃねぇだろ? 先月分奢ったの、俺だぜ?」
「その前までは、全部俺だ」
「俺、大福奢った!」
「コーヒー建て替えてやったぜ」
「ラーク1本かすめ取ったの誰だよ!」
「勇次、そういやお前、さっき釣り銭落としたとかって…」
際限なく繰り広げられる修羅場を救うのは、いつも1本の電話。
時と場所を選ばぬ犯罪者のラヴコール。
「タカ!」
呼ばれた相棒の背中はすでにコートを翻し、後を追う大下がおどけたようにステップを踏む。
「いいか、くれぐれも連絡を怠らず…」
カウンターに残された受話器からは、延々と続くため息に似たつぶやき。
Good-bye 束の間の夢物語、 Good-bye 束の間の恋人たち、
Good-bye 束の間の…、
「ちょっと! ここ、誰が払うのよ!」
だから…。
「やめらんねぇよな、この仕事」 by TAKA & Yuji